アプリによってiPhoneのキーボード音が鳴らないのはなぜか
打鍵音を黙らせるのは着信スイッチだけではありません。マイクを開いている録音中や通話中も、iOSは意図的に音を止めます。設定で戻せる種類のものではない、という話です。
着信スイッチはオンにしてあり、着信音量も上げてある。少し前までメッセージアプリでは打鍵音がきちんと鳴っていた。それなのに、あるアプリを開いて文字を入力した途端、まったく音が聞こえなくなる。こうした状況は「キーボード音の設定が切れている」のとは別の現象で、はっきりとした、しかも意図された理由があります。
まず、ありふれた原因のほうを切り分ける
どのアプリでもまったく打鍵音が鳴らないのであれば、原因のほとんどは本体側面の着信/サイレントスイッチか、着信音量そのものです。これはもっと頻度の高い別のトラブルで、キーボード音と触覚フィードバックについての解説のほうで扱う話題になります。このページで扱うのは、もっと範囲の狭いケースです。つまり、ほとんどのアプリでは普通に鳴っているのに、特定の画面に入ったときだけ音が消える。しかも設定は何ひとつ変更していない、という状況に限った話だと考えてください。
打鍵音は「システム効果音」であって、通常の音声再生ではない
文字を打ったときに鳴るあの短い音は、メールの送信音やカメラのシャッター音とまったく同じ仕組みで再生されています。短いUIフィードバックのために用意された軽量な仕組みで、音楽や動画のような本格的なオーディオ再生とは扱いが異なります。キーボード拡張が特別な許可を求めずに音を出せるのはこのためです。自前のオーディオセッションを開いているわけではなく、短いシステム効果音を鳴らすようOSに頼んでいるだけ、というのが実態にあたります。
録音中のマイクが音を止める理由
そして、その軽量な仕組みこそが、アプリがマイクを開いて録音を始めた瞬間に消音される対象です。動画を撮影しているカメラアプリ、ショート動画やストーリーにキャプションを付けている最中のSNSアプリ、ボイスメモ、録画されているビデオ通話。いずれの場合も、システムのUI音が収録中の音声に混ざり込むことをiOSは避けようとします。カチカチという打鍵音が録音データに焼き付いてしまうくらいなら、録音しているあいだだけ黙らせておくほうがよい、という判断です。録音が終われば、こちらが何もしなくても音はひとりでに戻ります。リセットの操作は必要ありません。
通話中にも同じことが起きる
電話やFaceTimeの通話は、録音とまったく同じようにマイクを開いたままにします。通話が続いているあいだ、システム音に対しても同じ抑制がかかります。通話しながらメッセージを打つとキーボードは無音のまま、電話を切ると何事もなかったように音が戻る。その途中で設定画面を触る必要はまったくありません。相手に自分の打鍵音が伝わらないという点でも、理にかなった動作だといえます。
二つのケースの見分け方
- 特定のアプリだけ無音で、ほかのアプリでは正常。そのアプリが録音中か通話中であるなら、このページの話にあたります。故障ではありません。
- 開いた瞬間にカメラや通話が始まるアプリで、最初からずっと無音のまま。原因は同じですが、そのアプリで鳴っている状態を一度も見ていないぶん気づきにくいだけです。
- メモやメッセージも含めて、どこでも一切鳴らない。この場合は着信/サイレントスイッチと着信音量を確認してください。こちらは設定側の問題で、別件になります。
直すべきものは、そもそも何もない
これはキーボードアプリの不具合ではありませんし、標準キーボードであれ他社製のキーボードであれ、キーボード側から上書きできる挙動でもありません。抑制はキーボード拡張が動いている層よりも下、システムのレベルで行われているからです。落ち着いて考えれば、これはむしろ望ましい動作でもあります。動画にキャプションを付けている人が、打鍵音を録音の音声トラックに永久に焼き込みたいとは思わないはずです。なお、触覚フィードバックはTaptic Engineによるもので音声ではないため、この抑制の影響を受けません。
よくある質問
動画を録画しているあいだだけキーボード音が鳴らなくなるのはなぜですか
アプリが録音のためにマイクを開いているあいだ、iOSは打鍵音を含むシステムUI音を消音します。打鍵音が録音の音声トラックに入り込まないようにするための意図的な動作で、録音が終われば自動的に元へ戻ります。設定を変更する必要はありません。
これはキーボードアプリ側の不具合ですか
いいえ。抑制はキーボードの内部ではなくシステムのレベルで行われるため、標準キーボードの打鍵音も含め、端末上のすべてのキーボードに等しく影響します。別のキーボードに切り替えても結果は変わりません。
触覚フィードバックにも影響しますか
いいえ。触覚フィードバックは音声ではなくTaptic Engineによる振動なので、録音中や通話中に打鍵音が抑制されているあいだも通常どおり働きます。音だけが止まっている状態だと考えてください。
自分のキーボードで試す
Kiboは、本物のメカニカルキー音とテーマ、RGBバックライト効果を備えたiPhone向けの無料カスタムキーボードです。アカウント登録も広告もなく、フルアクセスをオフにしたままでも使えます。