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サードパーティ製キーボードはiPhoneのカメラやマイクにアクセスできるのか

フルアクセスという名前は「何でも許可する」ように読めますが、カメラとマイクはそのスイッチが届かない線の向こう側にあります。何がそれを止めているのか、そして設定Appの二つの画面で自分で確かめる方法をまとめます。

フルアクセスという名前には、いかにも「何でも許可する」という響きがあります。ネットワーク、クリップボード、共有ストレージ。ここまで並ぶと、ではカメラやマイクも一緒に開いてしまうのではないか、気づかないうちに録音されているのではないか、という不安が出てくるのは自然なことです。結論から書くと、カメラとマイクはフルアクセスのスイッチとは別の線引きの向こう側にあります。位置情報のように「技術的には要求できるが、そもそも要求する理由がない」という話ではなく、キーボード拡張という部品には最初から用意されていない、という種類の話です。

フルアクセスで実際に外れる制限

まず整理しておくと、フルアクセスをオンにしたときに緩むサンドボックスは主に三つです。ひとつはネットワークへの接続、つまり拡張機能がサーバーと通信できるようになること。ふたつめはシステムのクリップボードの読み取り。みっつめは、そのキーボードを含んでいる親アプリとの共有ストレージへのアクセスです。三つ並べてみると、カメラとマイクがどこにも入っていないことがわかります。ほかの一部のシステム機能については、アプリ側が個別の許可ダイアログを別途出して初めて届くようになりますが、カメラとマイクはその手前の段階で対象外になっています。

キーボード拡張がカメラとマイクに手を伸ばせない理由

Appleがカスタムキーボードに対して公開しているガイドラインは、この点についてかなり具体的です。キーボード拡張の役割はタップを文字に変えることであり、キーボード自身の目的のためにカメラやマイクを使うことは明確に認められていません。つまりこれは「フルアクセスの範囲がたまたま狭かった」という話ではなく、設定画面のスイッチとは無関係に、カスタムキーボードという部品の外側に引かれた別の線です。行儀の悪い通常アプリであれば理屈のうえでは考えられる、バックグラウンドで静かに録音を始める、こっそりカメラの一コマを取得する、といった動きを、キーボード拡張はそもそも実装できません。

マイクのアイコンを押したときに動いているもの

一方で、ほとんどのキーボードにはマイクのアイコンが並んでいます。純正キーボードにもありますし、押せば実際に音声を聞き取り始めます。ここは混同しやすいので、先ほどの話とは分けて考える必要があります。あのマイクキーはキーボード拡張の持ち物ではありません。押した瞬間に処理はiOS自身の音声入力、いわゆるシステムのディクテーションへ引き渡されます。これはiPhoneに入っているどのキーボードからでも共通で呼び出される機能で、その数秒のあいだ、キーボード拡張は何も描画していませんし、何も聞いていません。ただ脇にどいているだけで、入力が終われば元の状態に戻ってきます。

なお、通話中や画面収録中にキー音だけが鳴らなくなることがありますが、これはさらに別の話です。ほかの機能がすでにマイクを開いている状況で、iOSが短いシステム音を抑えているだけであり、キーボードがマイクを取りにいっているわけではありません。症状が似ているので同じ現象だと思われがちですが、原因はまったく違うところにあります。

自分の端末で確かめる手順

ここまでの説明をそのまま信じる必要はありません。iOSはカメラとマイクの利用許可を与えた相手を、アプリでも拡張機能でも区別なく一覧として保持しています。次の手順でその記録そのものを見にいけます。

  1. 設定Appを開き、「プライバシーとセキュリティ」から「カメラ」を選びます。
  2. 同じ階層にある「マイク」も別途開きます。カメラとマイクは一覧が分かれているので、片方だけ見て終わりにしないでください。
  3. 一覧をスクロールして探します。キーボード拡張は、キーボード自体の名前ではなく、それを含む親アプリの名前で並んでいるのが普通です。
  4. どちらの一覧にも名前が出てこなければ、そのキーボードはカメラもマイクも一度も許可されていません。フルアクセスのスイッチがオンであっても、この結論は変わりません。
  5. 画面上部に出る緑またはオレンジの小さなインジケータも判断材料になります。実際にカメラやマイクが使われている瞬間に点灯するもので、これはどのアプリに対しても同じように働きます。

この確認手順はフルアクセスの設定とはまったく別の場所にあります。別の設定から推測するのではなく、システムが持っている記録を直接読む形になるので、判断材料としては信頼できます。心配になったときに毎回この二画面を見にいける、というのがいちばん実務的な安心の持ち方です。

よくある質問

フルアクセスをオンにすると、キーボードがカメラやマイクを使えるようになりますか。

いいえ。フルアクセスで緩むのはネットワーク接続、システムのクリップボード、親アプリとの共有ストレージの三つです。カメラとマイクはこの一覧に含まれておらず、カスタムキーボードがそれらを自分の目的で使うことはガイドライン上も別途認められていません。

キーボードのマイクキーは何をしているのですか。

iOS自身の音声入力へ処理を引き渡しています。iPhone上のどのキーボードからでも共通で呼び出される機能で、キーボード拡張そのものが録音したり聞き取ったりしているわけではありません。音声入力が動いているあいだ拡張機能は脇にどいており、終われば元の状態に戻ります。

あるキーボードがカメラやマイクを使ったことがあるか、確認する方法はありますか。

設定Appの「プライバシーとセキュリティ」にある「カメラ」と「マイク」の一覧を見てください。許可を与えたアプリと拡張機能がすべて並んでおり、キーボードは多くの場合、親アプリの名前で表示されます。どちらにも見当たらなければ、一度も許可されていないということです。

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