同じ絵文字がiPhoneとAndroidで違って見えるのはなぜか
Unicodeが標準にしているのは、どの絵文字が存在してそれが何を意味するかであって、どう描くかではありません。各社が別々の絵柄を持つに至った経緯、メッセージの中を実際に流れているもの、そしてキーボードを変えても絵柄が変わらない理由を説明します。
iPhoneから送った絵文字が、Androidの相手の画面に同じ絵で届くことはありません。近いのでほとんど気づかれませんが、描いたのは別の会社の別のチームで、表情が目に見えて違うものもあります。どちらの端末の不具合でもなく、絵文字は最初からそういう仕組みで作られています。
Unicodeが決めているのは何か
Unicodeコンソーシアムが決めるのは、その絵文字が存在するかどうかです。公開されるのは、U+1F602のような符号位置と、短い参照名、そして考え方を示すための参考の図です。描き方は公開されません。色も線の太さも表情の角度も義務付けられていません。標準化されているのは同一性と意味であって、「A」という文字を標準化するときにフォントまでは指定しないのと同じ関係です。
絵柄は各社が自前で作っている
絵が標準の一部ではない以上、絵文字を扱いたい各社は、Unicodeの一覧に符号位置ごとに対応させた一式を自分で設計するしかありません。Appleの一式はiOSに組み込まれたフォントとして配られています。iPhoneで絵文字を打つと、iOSがその符号位置に対するAppleの絵を描きます。メッセージがAppleの絵を持って行くわけではありません。運ばれるのは符号位置で、絵を用意するのは表示している側の端末です。
そもそも絵文字は日本の携帯電話から広まったもので、当時は事業者ごとに絵柄も、使える種類も違っていました。それを共通の文字として整理したのがUnicodeへの取り込みです。絵柄をそろえることは初めから目的に入っていなかった、と考えると、いまの状況はむしろ自然に見えてきます。
意味がずれて伝わることがある
多くの絵文字は、差が装飾程度で済みます。そうでないものもあります。特に顔の絵文字は、口角の上がり方や目の細さの描き方で、受け取られる温度が変わります。ある会社の絵では素直な笑顔に見えるものが、別の会社の絵では硬い、あるいは無理をした表情に見えることがあります。違う端末を使っている相手とのやり取りで、思い当たる理由もなく空気が少しずれたことがあるなら、絵柄の違いは実在する説明の一つです。
メッセージの中を実際に流れているもの
絵文字を含むメッセージが運んでいるのは、画像ファイルではなく文字です。中身は一つの符号位置か、肌の色や家族、旗のように複数の符号位置をつないだ短い並びです。だから絵文字は文字と同じように入力でき、コピーでき、検索でき、保存できます。アプリや機種をまたいでも壊れずに残るのもそのためです。何を描くかを決める工程は、そのメッセージを表示している端末の側で、その端末が持っているフォントを使って行われます。打っているときに見えていた絵は、送信されていません。送られているのは同一性だけです。
打つのに使ったキーボードは関係するか
関係しません。純正でもサードパーティ製でも、キーボードアプリは送られる絵文字を描いていません。キーボードの絵文字の一覧は、Unicodeの文字を入力欄に渡すための入り口にすぎません。文字が入力欄に入った後は、キーボードではなくiOSが、どちらの場合も同じシステムのフォントで描き方を決めます。したがって、キーボードの側から絵文字をAndroid風の絵柄で表示させたり、加工を加えたりすることはできません。絵をもともと持っていないからです。
よくある質問
送った絵文字が相手の画面で違う絵になっているのはなぜですか。
Unicodeが標準にしているのは、その絵文字が存在することと意味だけで、絵柄は各社が自分で設計しています。送られているのは符号位置なので、相手の端末は自分が持っているフォントでその符号位置を描きます。同じ絵文字でありながら絵が違うのはそのためです。
キーボードアプリを変えると、相手に見える絵文字も変わりますか。
変わりません。キーボードの絵文字の一覧は文字を入力欄に渡しているだけで、絵を描いているのは表示している端末のシステム側です。自分の画面での見え方も、相手の画面での見え方も、キーボードの選択とは無関係です。
絵柄の違いで意味が誤解されることは本当にありますか。
表情のある顔の絵文字では実際に起こります。同じ符号位置でも、描いた会社によって温かい笑顔に見えたり硬い表情に見えたりするので、意図したのとわずかに違う温度で相手に届くことがあります。
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